理容師40年のマスターユウキです。
長年、多くのお客様の髪と向き合ってきた経験から、AGAについて分かりやすく解説させていただきます。
「最近、抜け毛が増えた気がする」「髪が細くなってきた」「生え際が後退してきた」そんな悩みを抱える方は少なくありません。
AGAは決して特別な病気ではなく、多くの男性が経験する可能性のある症状です。
この記事では、AGAの基本的な知識から初期症状、そして発症の要因まで、ベテラン理容師の視点から詳しくお伝えします。
AGAの基本知識とそのメカニズム

AGAを理解するには、まず髪の毛の成長サイクルを知ることが大切です。髪の毛には「成長期」「退行期」「休止期」という3つの段階があり、通常は2~6年かけて成長します。
AGAになると、このサイクルが大きく乱れてくるのです。成長期が極端に短くなり、数ヶ月から1年程度で髪が抜けてしまうようになります。その結果、髪が十分に成長する前に抜け落ち、細く短い毛が増えてくるのです。
理容室で多くにお客様の髪を実際に見ていると、健康な髪は太くてハリがありますが、AGAが進行した髪は細くなり、ボリュームが失われていくのが分かります。急に薄毛が進行した方はカット時に手の指で取る髪の毛の量が少なくなっているのが分かります。極端な場合はスダレのようになって伸びない短い髪が多くなっています。これは毛包(髪を作る器官)が徐々に小さくなっていくためです。
AGAとは?男性型脱毛症の定義と特徴

AGA(Androgenetic Alopecia)は「男性型脱毛症」と呼ばれ、成人男性に最も多く見られる脱毛症です。日本人男性の約3人に1人が発症すると言われています。
AGAの最大の特徴は、脱毛のパターンが決まっていることです。額の生え際から後退していくM型・C型、頭頂部から薄くなるO型、あるいはその両方が同時に進行する複合型タイプがあります。40年間、数え切れないほどのお客様を見てきましたが、側頭部や後頭部は比較的髪が残るという共通点があります。
また、AGAは進行性であることも重要なポイントです。放置すると徐々に薄毛が進んでいくため、早めの対応が大切になります。
男性ホルモンDHTの役割と影響

AGAの主な原因となるのが、DHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンです。これは、テストステロンという男性ホルモンが「5αリダクターゼ」という酵素によって変換されてできるものです。(5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型の2種類あります)
DHTが毛乳頭細胞にある受容体(レセプター)と結びつくと、髪の成長を抑制する信号が送られます。その結果、髪の成長期が短くなり、毛包が縮小していくのです。
興味深いのは、同じようにDHTの影響を受けても、人によって薄毛の進行度が異なることです。これは遺伝的な要因が大きく関係しています。受容体の感受性が高い人ほど、DHTの影響を受けやすく、AGAが進行しやすい傾向にあります。
ちなみに男性型脱毛症(AGA)のリスクを調べる遺伝子検査があるのですが、この受容体の感受性を調べる項目が主な目的です。
AGAの流行と発症年齢の関係
AGAは20代後半から30代にかけて発症する方が多いですが、早い人では10代後半から症状が現れることもあります。私の店でも、20代前半のお客様から「髪が細くなってきた」という相談を受けることが増えています。頭の形や髪質が薄毛のお父さんと似ているという方が早く髪が細くなる傾向がありますね。
統計的には、20代で約10%、30代で20%、40代で30%、50代以降では40%以上の男性がAGAを発症すると言われています。つまり、年齢が上がるにつれてAGAの発症率も高くなるのです。
AGAの初期症状とは?

理容師として、AGAの初期症状には特に注意を払っています。早期発見、早くからの対策が鍵だからです。「髪の毛が薄くなったら教えてよ」「まだ大丈夫かな?」と言われるお客様も多いのです。
主な初期症状
- 髪のハリやコシがなくなる:以前より髪が柔らかく、細くなったと感じる
- 抜け毛の増加:シャンプー時や枕に付く抜け毛が明らかに増える
- 生え際の後退:額が広くなった気がする、M字部分が目立つ
- 頭頂部の地肌が見える:つむじ周辺の髪が薄くなり、地肌が透けて見える
- 髪型が決まりにくい:ボリュームが出ない、セットしても崩れやすい
これらの症状は殆どの場合、少しずつ少しずつ進行するため、自分では気づきにくいこともあります。定期的に理容室に通うことで、プロの目でチェックしてもらうのも一つの方法です。
AGAを引き起こす要因とは?

AGAの発症には、複数の要因が複雑に絡み合っています。
主な要因
1. 遺伝的要因
最も大きな要因です。特に母方の祖父が薄毛の場合、AGAのリスクが高いと言われています。遺伝によって、DHTに対する感受性が決まるためです。また頭の形、頭頂部や額の生え際が張っていて、血流が悪くなりやすいということも遺伝的要因ではないかと私は思っています。
2. 男性ホルモンの影響
前述のDHTが直接的な原因となります。体質によってDHTが多く産生される人もいます。
3. 生活習慣
睡眠不足、偏った食生活、過度なストレスなどは、髪の成長環境を悪化させます。生活習慣が乱れている方ほど、髪の状態も良くないということですが、ひどい生活習慣の方でも髪の毛が多い方もいます。理容師40年の経験から言えるのは、複数の要素が重なって髪が薄くなってしまうのではと考えています。
4. 喫煙
喫煙は血行を悪くし、頭皮への栄養供給を妨げます。AGAを加速させる要因の一つです。
5. ストレス
過度なストレスはホルモンバランスを崩し、髪の成長サイクルに悪影響を与えます。
AGAは遺伝的要因が大きいとはいえ、生活習慣の改善によって進行を遅らせることは可能です。バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動、そしてストレス管理を心がけることが大切です。
まとめ
AGAは多くの男性が直面する可能性のある症状ですが、正しい知識を持つことで適切な対応ができます。初期症状に気づいたら、専門医や理容師に相談することをお勧めします。
理容室では、日々のヘアケアアドバイスや頭皮の状態チェックもできるところもありますので、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。本サイトの管理人は理容師40年の経験を活かし、皆様の髪の健康について発信しています。
ただし、発症年齢が早いほど進行が早い傾向があります。若いうちから症状が出た場合は、早めの対策を考えることをお勧めします。
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